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北岡元『インテリジェンス入門』


本書の初版が出版されたのは2003年ですが、2009年には第2版が出ています。

情報史研究会編『名著で学ぶインテリジェンス』では、日本語で書かれたテキストとして紹介されています。(※1)

また、恐らく日本初の本格的なインテリジェンスの教科書である、小林良樹著『インテリジェンスの基礎理論』では、わが国の代表的な学説として、本書の「インテリジェンス」の定義に言及しています。(※2)

著者の北岡氏は、本書のほか、『インテリジェンスの歴史』『仕事に役立つインテリジェンス』なども刊行した、わが国の著名なインテリジェンス研究者の一人です。

北岡氏は、外務省の国際情報局で課長を務めるなど、インテリジェンスの実務家出身の研究者でしたが、現在は駐エチオピア公使です。


本書はインテリジェンス・サイクルの理論的な考察が中心ですが、インテリジェンスの秘匿と保全や、人材育成についても触れられています。

「インテリジェンス・サイクル」とは、インテリジェンス(判断・行動するために必要な知識)を生産する過程のことですが、簡単な図にすると、以下のようになります。(図参照)





シンプルなインテリジェンス・サイクルの考え方JPEG





「カスタマー」とは、インテリジェンスを利用して意思決定を行なうもののことを、「情報サイド」とは、インテリジェンスを生産しカスタマーに配布するもののことを指します。

「リクワイアメント」は、カスタマーによる“このようなインテリジェンスがほしい”という具体的な要求のことです。

情報サイドは、カスタマーのリクワイアメントを満たすインテリジェンスを生産して、配布します。

“サイクル”とある通り、通常、1回転だけでは終わりません。

簡単な図(平面図)では一面的なことしか分からないので、本書では立体図も用いて考察を進めていきます。


本書は4部構成となっており、大体以下のように要約できると思います。


第1部では、平面図と立体図の検討を通して、インテリジェンス・サイクル全体を眺めます。

第2部では、リクワイアメント伝達から始まり、カスタマーと情報サイドの関係性、インテリジェンスの元になるインフォメーションの収集・分析など、インテリジェンス・サイクルの一連の流れを、それぞれの段階ごとに考えます。

第3部では、国家安全保障の現場での、インテリジェンス・コミュニティについての考察と、民間企業の現場でインテリジェンス・サイクルを機能させる方法を、CI(Competitive Intelligence:米国の国家情報組織が過去に培ってきたインテリジェンスの手法を民間企業に適用したもの) を元に考察します。

第4部では、冷戦崩壊後の脅威の多様化、利害関係の複雑化により、(国家安全保障上の)インテリジェンスを巡る環境が変化したことを指摘し、CI の考え方を参考に、新しいインテリジェンス・サイクルのモデルを提示します。


特に第1部は、インテリジェンスの基本を、インテリジェンス・サイクル全体を通して理解できるので、私は何回も読みましたね。

「判断・行動するために必要な知識」「初めにリクワイアメントありき」「初めにカスタマーの利益ありき」といった本書のキーワードを押さえたうえで、第2部以降を読んでいくと良いでしょう。


個人的な感想としては、「絶えず変化する現実、絶えず変化するインフォメーション、絶えず変化するインテリジェンス、絶えず変化するカスタマー、絶えず変化するリクワイアメント」は、方丈記の「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」を思い起こしました。

「絶えず変化する現実」という言葉は、インテリジェンスを考える上で、常に頭に入れておかなければならないと思いました。


初心者にも安心して薦められる良書だと思います。




※1 情報史研究会編『名著で学ぶインテリジェンス』日経ビジネス人文庫、p.25

※2 小林良樹著『インテリジェンスの基礎理論』立花書房、p.6




北岡元著『インテリジェンス入門[第2版]―利益を実現する知識の創造』慶應義塾大学出版会、2009


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2015年1月4日,プロフィール更新

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