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日本型「スパイ機関」のつくり方

少し古い話になりますが、「中央公論」2013年5月号に、自民党の河野太郎氏・民主党の馬淵澄夫氏・みんなの党の山内康一氏による連名で、<日本型「スパイ機関」のつくり方>という提言が載っています。

先日、図書館で借りてきたので、この提言についてのメモをしておこうと思います。


提言の特徴としては、以下の5点が指摘できます。

① (日本版NSCだけでは不十分として)対外インテリジェンス機関の新設を提言していること

② 新設された対外インテリジェンス機関の果たす役割を、公開された情報源を元にしたインテリジェンス活動(オシント)と、(在外公館に外交官の身分で派遣する)人的情報源を元にしたインテリジェンス活動(ヒュミント)としていること

③ 現在、日本で情報機関と呼べる組織の定員と予算を示したうえで(平成24年度)、新設される対外インテリジェンス機関の人員と予算を、具体的に述べていること(キーワードは、“身の丈に合った対外インテリジェンス機関”)。

④ 国会議員が党派を超えて取り組むべき課題を挙げていること

⑤ これらを超党派の国会議員が連名で提言していること




この提言を以下に要約してみます。
なお、要約は私(ブログ管理人)が5回程度読み込んだうえで、このブログの文体で表現したものです。
誤読している部分がある可能性もありますが、その場合は当然、ブログ主に責任があります。



2012年9月に中国の漁船1000隻が、大挙して尖閣諸島に向かっているという報道が流れました。

現在の日本には対外インテリジェンス機関はありませんが、もしこれがあったならば、もっと早くから関連の情報(インフォメーション)収集・分析を行い、(総理大臣などの)政策決定者はより的確で冷静な判断ができたはずです。

この件に関しては事態はエスカレートしなかったものの、次回も同様の結果となるとは限りません。

(以上、p.94)


日本を巡る安全保障環境は厳しさを増しており、これに対応するためにも、(日本の)外交・安全保障の体制を見直さなければなりません。

特に必要なことは、中長期的な戦略の策定と、国家安全保障上の重要事項に対して、責任ある判断を下すことです。

安倍晋三総理大臣は、日本版NSCの創設に強い意欲を示しています。
総理大臣のために、外交・安全保障上の戦略を練る専属機関(NSC)が今まで存在しなかったことは、明らかに問題でした。

しかし、日本版NSCだけでは不十分です。
急激な戦略環境の変化に対応していくためにも、対外インテリジェンス機関を設置するべきです。

(以上、p.95)


インテリジェンス改革の必要性は、過去に何度も叫ばれてきましたが、(※)今までの日本は、インテリジェンスを軽視してきたので、具体的なアクションは取られませんでした。

しかし、日本版NSCの設置が現実になりつつある今、日本のインテリジェンスを巡る状況も変わりつつあります。

NSCが機能し始めれば、その活動に必要な情報を提供するよう、関係機関に(今までよりも)はっきりとした指示を出すようになるはずです。

現在の日本で情報機関といえるのは、内閣官房内閣情報調査室、内閣衛星情報センター、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部、警察庁警備局、法務省公安調査庁といった機関です。

これら各機関の人員の合計は4500人、予算は1300億円あります。
しかし、官僚組織の縦割りの問題から、これら機関の間で、機微な情報が共有され難いという問題も指摘できます。

だからこそ、総理大臣が的確な判断を下すために、NSCの戦略策定機能だけでなく、既存の組織の枠を超えた対外インテリジェンス機関を新設するべきなのです。

(以上、p.96)


私たちが提案する対外インテリジェンス機関の中心的な役割は、相手の意図に関するインテリジェンスを入手することです。

公開されている情報を丹念に分析すること(オシント)こそが、まずは全ての基本です。

スパイから得られた情報(ヒュミント)にせよ、通信傍受から得られた情報(シギント)にせよ、衛星画像から得られた情報(イミント)にせよ、これらが何を意味するかを理解するためには、公開情報を丁寧に分析しなければなりません。

それと同時に、人的情報源を元にしたインテリジェンス(ヒュミント)をも重視しなければなりません。

ヒュミントの意味は、「諜報活動」や「スパイ活動」とされますが、誤解を恐れずにいうならば、私たちは日本も諜報活動をすべきだと主張しているのです。

(以上、p.97)


日本が必要としている戦略情報を収集する「スパイ」は、諸外国で人的なネットワークをつくり上げ、それを駆使して情報収集を行い、人工衛星の画像や公開情報だけでは分からない、相手国の意図を探ることが主な任務となります。

もし対外インテリジェンス機関を新設したら、まずはインテリジェンス機関員を外交官の身分で在外公館に派遣し、ヒュミントに従事されることから始めようと思います。

既存の情報機関では規模や人事に問題があり、ヒュミントを有効に行なえていません。
だからこそ、私たちは対外インテリジェンス機関の新設を主張しているのです。

私たちは、“身の丈に合った対外インテリジェンス機関”の新設を目指します。

近年の厳しい外交・安全保障環境に対応するためにも、東アジア(具体的には朝鮮半島・中国・ロシア)と西太平洋を、情報収集・分析の主要な対象として想定しています。

(以上、p.98)


新設される対外インテリジェンス機関の規模としては、まずは人員500人、予算200億円程度あれば十分でしょう。

新しい機関をつくるのだから、最初の段階で如何にして有能な人材を集めるかが鍵になります。
各国それぞれの地域専門家はもちろん、様々な分野に専門知識を持った人材を集めたいものです。
それらは既存の情報機関だけでなく、民間からも幅広く登用していきたいと考えています。

オシントはそれでいいとして、問題はヒュミントですね。
こちらは、ほぼ0から始めるわけですから、即戦力を望むのは難しいです。
しかし、10年後20年後を見据えて、今からきちんと取り組んでいくべきです。

(以上、p.99)


“対外インテリジェンス機関を有効に活用する”ために、私たち国会議員が党派を超えて取り組まなければならない課題を、3つ指摘しておきます。

1つ目は、情報保全体制を強化することです。
今の日本は、情報漏洩時の罰則が軽すぎます。
国務大臣はもとより、国会議員に対しても適宜守秘義務を課すべきです。
また、セキュリティクリアランス(機密にアクセスする権限)の制度も、確立することが望ましいです。

2つ目は、対外インテリジェンス機関に対する民主的統制の仕組みをつくることです。
政府機関である以上は予算の監査があるのは当然ですが、それ以上に重要なのは、国民による信託を受けた国会議員による統制です。
対外インテリジェンス機関幹部の指名承認や、守秘義務を委員に課したうえで国会に情報委員会の設置、予算の承認などを行なうよう、仕組みを整えたいです。

3つ目は、「情報の政治化」を防ぐことです。
「情報の政治化」は諸外国でも問題になっている事柄ですが、本来、客観的でなければならないインテリジェンスが、何らかの政治的な事情により、客観性が損なわれてしまうことを指していいます。
非常に難しい問題ですが、チェック機能を制度として埋め込むことにより、「情報の政治化」が起こり難くなるようにしたいです。

(以上、p.100~101)


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テーマ : 雑誌
ジャンル : 本・雑誌

質問主意書に見る日本のインテリジェンス(衆議院)

国会には、質問主意書という制度があります。

質問主意書とは、国会議員が内閣に対して質問を提出し、回答を要求することができる制度のことです。
(参考 : 多数の質問主意書を出す議員たち―質問主意書提出数ランキング


インテリジェンスに関連する質問主意書(の提出者)を、金田誠一氏・鈴木宗男氏・その他という形で分類してみました。




金田誠一

我が国官庁の秘密保全体制に関する質問主意書

防衛庁の秘密保全体制に関する質問主意書

外務省秘密文書の漏洩問題に関する質問主意書

外務省秘密文書の漏洩問題に関する再質問主意書

防衛庁の秘密保全体制の現状に関する質問主意書

「秘密漏えい事件調査報告書」に関する質問主意書

防衛庁の秘密保全体制の現状に関する再質問主意書



鈴木宗男

外務省船橋分室の業務内容に関する質問主意書

諜報活動の定義に関する質問主意書

外務省船橋分室の業務内容に関する再質問主意書

外務省による対中国情報収集活動に関する質問主意書

インテリジェンスの定義に関する質問主意書

インテリジェンスの定義に関する再質問主意書

外務省のインテリジェンスに対する認識に関する質問主意書

外務省による防諜対策に関する質問主意書

外務省国際情報統括官組織における専門分析員に関する質問主意書

在ロシア連邦日本国大使館のインテリジェンス活動に関する質問主意書

情報収集衛星の導入の経緯に関する質問主意書

元駐日中国大使館員への死刑判決に関する質問主意書

元駐日中国大使館員への死刑判決に関する再質問主意書

我が国の外交官をスパイであるとした中国の北京市高級人民法院の判決に対する外務省の見解並びに対応に関する質問主意書

中国において国家機密漏洩の罪に問われた人物に対する駐中国大使の関与に関する質問主意書



その他

我が国における外国人諜報部員の把握に関する質問主意書(西村眞悟)

情報収集衛星の運用実態に関する質問主意書(吉井英勝)

インテリジェンス・諜報業務に従事する政府職員の研修・教育体制に関する質問主意書(馬淵澄夫)

公安調査庁に関する質問主意書(河村たかし)

イージス艦とミサイル防衛の機密保護および日米の情報連携に関する質問主意書(辻元清美)

情報収集衛星の情報開示に関する質問主意書(吉井英勝)

政府の調査活動に関する質問主意書(長妻昭)

我が国政府の情報保全の在り方に関する質問主意書(秋葉賢也)



テーマ : 政治
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今年の目標は,「日本のネット情報の現状」の大幅な更新と,10記事位書くことですかね。

2015年1月4日,プロフィール更新

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